青年海外協力隊、派遣前の訓練期間において、個性豊かな隊員に関して色々知りたいという思いから、ご協力もあって20名もの方々からインタビューをさせて頂いたことがあります。(インタビュー一覧)
そして、続編的なのしたいなーと思っていたところ、まさかの自身の首都退避。これは、来週実施される大統領選挙を見越し、もしかしたら治安悪くなるかもとの判断がJICAから下り、3週間弱は首都で過ごしてねというお達し。
ちなみにマラウイの協力隊員全員ではなく、自分含め数名のみで、来週から任地を離れます。
ということで、引きこもるにしろなんかしたいなーということで、インタビュー復活!来週以降、以前受けて頂いた方の続編や、新しい方々の内容も掲載予定です。また、都合あってすでにお一人インタビューを受けて下さったので、掲載したいと思います。
そのインタビュー復活第一弾は、マラウイでの活動を去年の1月に終え、現在イギリスの大学院に進学中のMさん。丁度修論調査のためにマラウイに来ておられ、色々とお話伺うことできました!
H27-3次隊・マラウイ・理科教育・Mさん
さっそくですが、まずは協力隊を目指したきっかけをお伺いしたいです。
そもそもなんですけど、高校時代から漠然と海外に対する興味があり、大学に入って自分でお金を貯め、アジアのスタディーツアーに軽い気持ちで参加しました。そこで、生まれた場所によって選択肢の多さが明らかに違うなと感じました。
教育学部に在籍し、教育は将来の選択肢を増やすためだと考えていた中、この経験から日本よりも途上国において、教育が求められていると思いました。
その後、1年の休学期間のアフリカ縦断などを通じ、改めて途上国の教育に携わりたい気持ちが強まりました。そこで、途上国における教員の経験を積むため、協力隊に応募しました。
活動ではどんなことをしていましたか?
理科教員として、日本でいう高校2年生に物理と化学を教えていました。この授業が通常業務で、活動の7割ほどを占めていました。また、ここの先生は自身が学生の頃、器具が無いため実験経験がなかったので、空いている時間には先生に実演していました。
他にも、マラウイの他の理科教員に呼びかけ、大学の教育学部で、将来教員になるであろう人々に対し、ワークショップの開催もしていました。
協力隊前後で大きく変わったなと思うところはありますか?
正直、あんまり変わっていないかなと。ただ、本を読むだけではホントに現場で何が起こっているか想像できなかったことが把握でき、現場のメカニズムを知ることができました。また、国際協力に対する覚悟もできたかなと思います。
今は何をしていますか?
UCL(University College London)というイギリスの大学院で、Education and Development というコースで修士取得に励んでいます。今、すべての授業が終わり修士論文の執筆段階です。コース内容としては、「開発とは何か、なぜ必要なのか」ということが中心にあり、国際社会の支援の在り方や、その中での教育の役割を学んでいます。
この理論的な内容に加え、現場レベルで利用できるフレームを学び、数人でチームを組んでケーススタディに取り組んだりもします。
例えば、「ケニアの干ばつ地域で、NGO職員になったら何をするか?」といったケースです。実際にそのNGO職員になったつもりで考え、最後には国連の経験もある、数名の教授陣の前で発表しました。このような感じで、理論、実践両面の内容を学んでいます。
個人的には、国の政策自体や、政策者が教育に及ぼすインパクトに興味があります。また、そもそも教育が与える影響(収入を増やす、寿命が延びる、豊かな人生を送れるなど)に対しても関心があって来ました。
イギリス大学院はいつから考えていましたか?
協力隊として派遣されてから半年ほどです。周囲に任期後、イギリスの大学院に行くという方が数名いて、面白そうだと感じました。その頃までは考えていませんでしたが、イギリスなら1年で修士号がとれるし、いいなと思ったことがきっかけです。
この1年においても、同じように協力隊後、イギリスで修士課程に進んでいる人が少なくとも10名はいます。
協力隊の経験は大学院での勉強で活きていますか?
すごく活きています。理論をたくさん習いますが、それがなぜ必要なのか、有効なのかを、実際のマラウイの学校をイメージしながら学べるため、理論と実践を頭の中で結び付けることができます。
留学で大変だったことはありますか?
課題のエッセイを書くのに苦労しています。日本語とは違う構造で、そもそも開発学というコンテクストで書いたこともない、語彙も乏しいといったなかで大変だなと。
所属しているコースはWritingのみで評価が決まり、「5000語で紛争と教育に関する議題をあげ議論せよ」といったことを書きます。
どのようなバックグラウンドの人が多いのでしょうか?
必修40人の授業では、イギリスと他のヨーロッパ国出身がそれぞれ2割ほど。アメリカ・カナダが1割、アジアが2割、途上国3割といった感じです。残念ながらマラウイ出身の人には会ったことがないです。アフリカだとナイジェリアやケニア出身の人が多いイメージです。
途上国からだとその国の省庁に努めていて、そこから来るパターンが見られます。なかには科学者だったがキャリアを変更して学んでいる人もいます。教育関連のコースであり、何らかの教員経験がある人が半分ほどです。
途上国の経験がある人は思っていたより少なく、NGOの経験があっても欧米の拠点でずっと働いていたといったことを聞きます。
今後はどう考えられていますか?
今就職活動を始めつつあります。まだフィールド経験を積みたいと考えていて、現地駐在できるような仕事がしたいです。より将来的にはJPOを経て、国際機関で働きたいなと考えています。与える影響力が大きく、何万もの人のためになるようなことに関わりたいです。
修士論文調査でお忙しい中、ありがとうございました!
国際協力において、国連での勤務を考えている人は多いと思いますが、条件としてよくある「途上国経験2年・修士・語学力」を満たすうえで、協力隊→海外留学(特に1年で取れる&開発に強いイギリス)を選択する人はちょくちょく見かけます。
自分もイギリスに進学しますが、Mさんはじめ周りにそういった過程をすでに経ている方がいるのはとてもありがたく、色々助けて頂きました。
こんな感じでインタビュー随時載せていけたらと思います!
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