青年海外協力隊において、絶対必要ではないけれど、あるといいよねっていうものをあげるとすれば、ダントツでKindle!っていうぐらい、お世話になっている。
なんせ日没後は外出禁止だし(国によって違う&タクシーの移動は別)、読書に費やせる時間がかなりある。停電していても、電池のもち半端ない。
記憶の定着もかねて、ほとんど自分のためだけど、赴任してからの2か月間で、印象に残った本のポイントと感想記載。
・・最近「アフリカ・開発」と並べて「日本の経済を軸にした歴史」を勉強中。江戸時代や明治維新、戦後などの経済を中心とした社会の在り方が、マラウイにいると気になって仕方ない。まだ途中の本ばかりなので今回はそこに関する本はないけれど、改めてまとめたい。
<紹介する本>
「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済/小川さやか/光文社新書
人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいを思った。/水野達男/英治出版
ソマリランドからアメリカを越える/ジョナサン・スター/角川文庫
アフリカの奇跡/佐藤芳之/朝日新聞出版
世界で突き抜ける/佐藤航陽・竹中平蔵/ダイヤモンド社
冒険に出よう/安藤美冬/Discover
働く意義の見つけ方/小沼大地/ダイヤモンド社
はじめよう、お金の地産地消/木村真樹/英治出版
なめらかなお金がめぐる社会。/家入一真/Discover
API革命/日経BPムック
「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済/小川さやか/光文社新書
彼らは、自分たちの「借りを回すしくみ」をそのまま応用できるシステムだったからこそエム・ペサを受け入れ、既存の社会的世界と似ていたからこそインターネット社会に参入した。国家の法や制度、送金システム、インターネットのいずれにしても、それらを受け入れ、どう使うかは人々にゆだねられている。
均質的な時が未来に向かって単線的な道筋を刻んでいくという近代的な時間とは異なる時間が流れていた。
→アフリカを中心に、「Living for today」としての生活を送る人々の価値観や、その仕組みに焦点を当てた本。マラウイにいて、まずはここに住む人々の価値観、社会の成り立ちをもっと知るべきとひしひしと感じる本。
この本を読み、マラウイも「困っている人がいたら助けるのが当たり前であるのと同様、困っていたら助けられるのが当たり前な社会」なのかなと。先進国のせいで「援助慣れ」してしまっている部分もあるのかもしれないけれど、もともとここの人たちには「助けられる」ことに慣れている。その時において「多くを持っている者」が「少ない者」に対して「借し」をつくることは自然なことなのかなと感じる。
そうなると、時々言われる”Give me money.”や、”Share your money”って言葉も捉え方が変わってくる。特に”Share”を叫んでいる人にとって、ホントに今は借りるけれど、いつか君が困っていたら助けてあげるよ的なニュアンスがかなりあるんじゃないかと。その「いつか」を実現させようと必死になるかは別にして。
自分が生きてきた世界と、マラウイは根本的に違う部分があって、それは単純な「先進国がこうしたから。」で思考を止める危険性を考える本。
人生の折り返し地点で、僕は少しだけ世界を変えたいを思った。/水野達男/英治出版
Boys Be Ambitious!「青年よ、野心を抱け!」
→住友化学にて、マラリア防止の蚊帳の普及に努め、マラリア撲滅のNPOを運営されている方の実話。「青年よ、大志を抱け!」で有名なこの言葉。ホントは「野心」と訳した方が適切だったとのこと。大きな野心を抱くには想像力が必要であり、それって人間ならではのある種特権じゃないかともうこの頃。(だから人間が優秀とかいうわけではないけれど。)ただ、マラウイにいて思うことは、「野心」を全然感じない。ガツガツしているなーと思う人が全然いない。それはそれでアリと言ったらお終いだけど、野心とワクワクは結構比例すると思うので、のほほんと楽しむのもいいけど、何かに向かい、成し遂げる楽しみを伝えられたらなと。そのためには、自分が染まり切らず、もっと野心抱かないとなーとも。
ソマリランドからアメリカを越える/ジョナサン・スター/角川文庫
→ソマリランドから分離したソマリランドにおいて、質の良い教育の提供を目指し、アメリカ人が学校を立ち上げ、MITなどへの合格者を排出するまでになる実話。最近読んだ起業系の物語で一番グッときた!教育の大切さ、不条理などへの立ち向かう姿勢、合格者が出た時の感動などなど。また、異国の地でどのようにふるまうべきか、時には強い姿勢も必要だなと改めて感じる一冊。
アフリカの奇跡/佐藤芳之/朝日新聞出版
→マカドミア・ピーナッツを始め、様々な事業をアフリカで起こしている方の実話。最初からスケールが大きく、こういった発想がもっと必要だなと感じる。アフリカでビジネスを続ける上での考えも参考になる。
世界で突き抜ける/佐藤航陽・竹中平蔵/ダイヤモンド社
日本の中に閉じこもっていては、やっぱり限界がある。明治維新ってあったでしょう。明治維新の最大のメリットって何だったと思いますか。そりゃ廃藩置県とか士農工商をやめたとかいろいろあるけれど、最大のポイントは「居住の自由」だと思うんです。どこに行ってもいいというのは、これ最大の自由だと思いませんか。
2~300年ぐらい前の産業革命だと、基本は動力の革命じゃないですか。重いものを持ち上げる力を、今までの何千倍、何万倍というレベルまで上げた動力革命だったと思うんです。でも、最近のコンピューターの進化は、人間の精神の拡張にまで及んでいる。今まで頭の中だけに閉じていたものが、あらゆるところにつながっていく。知性の革命ともいえるかもしれません。
→メタップスの代表者と、大臣も勤められた経済の第一人者との対話。超勉強になった。人間の進化には別に目的もなにもなくて、むしろ「進化」というより「変化」って言葉のみの方がいいんじゃないかと思っている今日この頃。ただ、無意識のうちに「物理的な拡張」→「精神世界の拡張」といった方向性があるのかなーと。攻殻機動隊にあるような電脳世界が自分が生きている間に実現ありうるかなと思う日々、「豊かさ」の行きつく先を考える上で参考になる。
冒険に出よう/安藤美冬/Discover
Nothing is impossible. Because impossible itself says, I’m possible.
→大企業を辞め、ノマド的な生活を送ることになった方の実話。「その本の中を通じて、一つでも印象に残る言葉に出会えたら上出来。」って言葉を聞いたことがある。何度も読み返している本の一冊だけど、特にこの言葉は印象的。明るく前向きになれる本。
働く意義の見つけ方/小沼大地/ダイヤモンド社
海外で歴史小説を読むと、簡単に自己陶酔に陥るものだ。シリア北部のラッカという町で「竜馬がゆき」をむさぼるように読んで、僕はまるで自分自身も幕末の志士であるかのような、壮大な勘違いとナルシズムの世界に浸った。それで勝手に盛り上がってスイッチが入ってしまったのだろうか、ユーフラテス川のほとりで、対岸に燃えるような夕日が周囲を真っ赤に染めながら沈んでいくのを見たとき、僕の背中に電流のようなものが走った。
「僕の人生の使命は、社会貢献の世界とビジネスの世界をつなぐことだ。そして、情熱を持って働く人たちで溢れる世界を創りたい。」
→青年海外協力隊、マッキンゼーを経て、民間の青年海外協力隊のような事業のNPOをたちあげた方の実話。こちらも何度も読み返す本。著者にならって自分も「竜馬がゆく」を読書中。
はじめよう、お金の地産地消/木村真樹/英治出版
→NPOバンクを運営している方の実話。「地産地消」or「グローバル」かっていうのは、お金に限らずよく考えるポイントの一つ。人間である以上、「せっかくなんだからより多くの人と交流しようよ。」「分業の仕組みを世界規模で活用しよう。」って点でグローバルに賛成な一方、地元の人が頑張って生み出した利益のほとんど、涼しいところからお金出している先進国に持っていかれる構造もどうなんだろうと。なんか「現場」か「仕組み」かっていう悩みにも通じる気がする。
なめらかなお金がめぐる社会。/家入一真/Discover
資金調達を民主化し、世の中のだれしもが声をあげられる世の中をつくる
そんな社会を作るためには、僕たちは世の中のお金をもっと、なめらかにしないといけない
20世紀の世界の2大イデオロギーであり続けた資本主義と社会主義。両者の比較の際に、前者は「機会の平等」を実現する社会。後者は「結果の平等」を実現する社会だと言われている。
→CAMPFIREやpolcaというクラウドファンディングを運営している方のお話。お金を述べる上での言葉のセンスいいなーと良く思う。「金融」とか「投資」って言葉だけど、ガチガチのスーツ着ているビジネスマンがなんとなく頭に浮かんだりする。だけど、本来のお金の役割はあくまで「金融:お金を融通する」ことであって、わき役であるべき。それがあたかも主役となっているような状況をどうやって変えていくのか、自分の関心とも重なり面白かった。
API革命/日経BPムック
→API : Application Programing Interfaceの略。 ソフトウェアの一部をWEB上に公開することによって、誰でも外部から利用することができる仕組み。ようは誰かがつくったシステムをまるまる自分も使えるよっていう理解。まだまだ勉強中だけど、「ブロックチェーン」と並んで、金融のみならず世の中の在り方を大きく変えうるポテンシャルを感じている。キャッチアップ頑張らないとと感じる分野。
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