需要はほとんどないと思いつつ、自分が大学時代に研究していた、ミジンコについてここでは記載します。専攻は工学部で、応用生物工学コースというところでした。びっくりするようなライフサイクルです!是非ご覧ください。
ポイント
・基本メスしかいない
・メスがメスを産むサイクルを繰り返している。つまりクローン。孵化した状態で、母体から1回につき20匹前後が生まれる(私が研究していた種、Daphnia magnaの場合)。
・低温や食糧不足等の環境悪化が生じると、メス1匹でオスもメスも産める。
・オスとメスは交尾をして、この場合においては休眠卵といわれる卵を産む。さやえんどうのようなさやに、卵が2つ包まれた状態。
・休眠卵は、環境が悪い場合、細胞分裂が途中で止まり、孵化しない。10年近く分裂が止まっていたのに、孵化したケースもある。
ミジンコの研究を通して知りたいこと、応用できること
・メスがメスのみを産むサイクルと、メスもオスも産むサイクルがあり、性決定に関する遺伝子を調べ、「性」に関しての理解の促進。
・サイクルが環境によって異なる。これが生じるための環境センサーのようなものがミジンコには備わっていると考えられ、それを調べる。環境センサーやある種のスイッチ機能のような応用を目指す。
・休眠卵は細胞分裂の途中で停止している。このメカニズムがわかれば、例えば癌のような病気を、消すことができなくても、眠らせることができるかもしれない。また、環境が悪い時は、エネルギーを多く消費することなく、ある意味省エネで耐え過ごす術がわかるかもしれない。(冬眠も似たような感じ。)
なんてことを目指して研究していました。
ミジンコを通して学んだこと
・生命はあくまで「化学反応」というか、進化論って正しいのだろうと感じました。研究の兼ね合いで研究生活の後半では、毎日ミジンコの細胞分裂、つまり一つの核からミジンコの形が出来上がるまでの過程を見ていました。それを通じて、無機的なものが複雑に絡み合うことで生まれる生命の不思議にも感動しました。
・「優劣なんてない。」ミジンコを研究していると、意図したわけではないにしても、種としての生存戦略に驚かされます。人類よりも生まれたのがずっと先輩、もちろん早い遅いの問題ではないけれど、「人間至上主義」みたいな考えは、視野を狭めるだけだなと感じるようになりました。
・人類以外からの視点で物事を考えることが多くなりました。研究を通じて、ミジンコにとってこれはどんな意味があるのかを考え続け、ふと自分や周りのことを考えた時、別の種から、もしくはまったく無機的な世界からそのことを見るとどう感じるかを考えることが増え、物事の捉え方の幅が広がった気がします。
・「生物って面白い!」なんだかんだこれを感じられることが、研究をしてよかったと思うことです。
生物、ミジンコって面白いと少しでも感じてもらえれば嬉しいです!
コメント