テクノロジーと民主主義

留学生活

基本的にテクノロジー万歳!派なのですが、今学期の授業課題を書くにあたり改めて色々考えたので、備忘録的な意味で記載します。

操られる民主主義

今回、授業の課題において、書評提出があります(1200 words)。幸運にも、日本語訳されている&Kindleでも読める本で面白いのが課題リストにあり、今回はこれに関して記載します。


結論から言うと、テクノロジーによるユートピアの可能性を示しつつも、基本的にはディストピア到来の警鐘を鳴らす本です。特に大きなポイントとして2つ


誰も知らないアルゴリズムによる社会操作

テクノロジーや一部のエリートによる社会の分断

を危惧しています。

誰も知らないアルゴリズムによる社会操作

こちらに関しては、昨今では個人情報がたくさん溢れており、さらには今年(2020年)にはネットに接続されたデバイスが500億をこえるといわれています。


そのような社会において、人々の趣向は勝手に解析され、本人が知らない以上に本人のことをコンピューターが知ることになります。前回のアメリカ大統領選挙においては、(アメリカ)国産車を保有している人は、トランプを支持する潜在的な候補者といったデータが導き出され、注力されたといったことがあります。


選挙におけるテクノロジーの影響は以前から議論されていました。有名な話としては、ケネディとニクソンによる大統領選挙において、初めてテレビが使用されました。ラジオの段階においては、ニクソンに軍配があがりそうだったものの、テレビにおけるさえない様子のニクソンに比べ、ぱっと見の印象が良かったケネディが、予想を翻して当選したとされる事例があります。


特に現代においては、最初のプログラムこそエンジニアが書くものの、そのあとはそのアルゴリズム自身によるフィードバックにより、その判断の根拠が人間には理解できない状況が増えています。つまり、誰も中身がわからないアルゴリズムによって、社会が操作されることを危惧しています。

テクノロジーや一部のエリートによる社会の分断

こちらに関しては、そもそもとしてインターネットには、ヒッピーやハッカーの自由主義や反権威主義といった部分を基にしてうまれた、カリフォルニアン・イデオロギーという理念があります。


大手のテック企業は、このイデオロギーを大切にし、自分たちはあくまで中立なプラットフォームであり、もの言うメディアではないと主張します。(GoogleとかFacebookとか)一方で、自分たちの力が脅かされることのないように、有力な新興企業は次々と買収します。(例えばFacebookならInstagramやWhatsAppとか)


結果として、ゆくゆくはテクノロジーに長けた一部の人間だけが恩恵を受ける社会となり、その他の大勢はそれに仕えるかたちになると懸念。


また、大量の情報が溢れる現在、人々は自分の興味のある情報だけを取得しがち。それによって、特手の価値観などが芽生え・育ちやすくなります。加えて、SNSによって自分の価値観とあう人と容易に繋がれるようになり、世界は分断化(部族化)すると主張。

ユートピア

ビットコインやブロックチェーンといった新技術によって、先ほど述べたカリフォルニアン・イデオロギーが盛り上がり&現実となり、加えてベーシックインカムといった新しい試みにより、みんながより幸せな世界になる可能性も一応は示しています。が、かなり限定的。

感想

今までは基本的に、「よく格差が議論されるけど、本当に問題なのは社会のボトムレベルがあがるか否かであり、前者はそんなに重要じゃない。」と考えている傾向がありました。しかもボトムは上がり続けると思っているので、かなり未来に楽観的でした。


ただ、今回の本や授業を受けるなかで、やっぱ格差の問題は比較大好きな人間にとっては重大な問題だなと感じるに至りました。


じゃあどうするんだって話ですが、こんな記載をしておきながらも依然としてテクノロジーの発展を望んでいるし、止まることも止められることもないと思っています。


なんか思った以上にここまでで長くなったので、このあたりに関してはまた改めて記載します。

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