市民科学

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ここでは前期の授業に出てきた、市民科学(Citizen Science)に関して記載します。科学にちょっとでも興味あれば、色んなことができるご時世。面白い取り組みをご紹介します。

市民科学とは?

そもそもとして、「市民科学」とは何なのか?「市民」も「科学」もざっくりした言葉であるため、明確な定義は特にないようです。イメージとしては、有償の仕事としてではなく、ボランティアや趣味のような形で科学に関わる概念です。


2015年にはアメリカの大統領補佐官(科学技術担当者)が、「ネットの力を組み入れた市民科学は重要!国としても要注目!」と言って報告書を出しています。(実際の報告書はこちら


実際どんなことをしているのか紹介するのが一番だと思うので、以下メジャーなプロジェクトをご紹介します。

Galaxy Zoo

HP (もともとGalaxy Zooとして発足し、今はZooniverseと改称)


ネットの力を取り入れた市民科学の火付け役となったプロジェクト。銀河の研究において、「この銀河の画像は時計回りか、その逆か?」みたいな、単純だけどコンピューターには当時難しかった判断を、オンラインでボランティアを募って分類作業をお願いしたのがきっかけです。


プロジェクト始動の10日後には800万回の分類が実施され、9か月後には約10万人がプロジェクトに参加していたことが公表されました。(驚愕!)


しかもこの取組み、作業過程でボランティアが不思議な緑色の部分を発見。なんとそれは新しい銀河の発見でした!ということで、関わった人で論文を発表することになるといった、すごいプロジェクトでした。


これをきっかけに、銀河に限らず様々な科学に関するプロジェクトに市民の力を借りようということで、色んな活動が今も実施されています。

eBird

HP

前述したGalaxy Zooとならぶ有名どころ。野鳥の観測を世界中の人々に協力を募る企画です。ネットが無ければ成しえなかった、様々な場所からの報告が集められています。


このような生態系に関する市民科学プロジェクトはネットと相性がよく、絶滅危惧種や有害な外来種の報告といった面でもプロジェクトが色々あります。

Foldit

HP

ゲームの要素を組み込んだ市民科学プロジェクト。こちらではタンパク質の構造に似せた簡単なパズルを解いていきます。次第にパズルは複雑になり、この過程が実際のタンパク質の構造特定につながります。


このプロジェクトにおいては、この過程で実際にタンパク質の構造が特定され、それがエイズ治療に貢献しうる可能性があり、論文になるといった大きな成果も上がっています。(詳細はこちら(英語))

DIYbio

特定のプロジェクトではなく、ひとつのムーブメント。DIY(Do it yourself)ということで、家とかでお手軽に生物 (bio)実験しようという流れ。


必要な器具が低価格で手に入り、実験方法もネットで検索しながらすることで、複雑な実験がより身近になっています。


ただ、規制的な面で問題もあります。遺伝編集といった倫理的に問題となる実験も個人でできてしまい、規制が難しいからです。こういった側面は今後の市民科学の課題かと。

クラウドファンディング

こちらは「市民科学」ということにはならないかもしれませんが、実際に活動に参加するのではなく、資金を出すクラウドファンディング(CF)の動きは日本でも見られます。

academist : 科学内容に特化したCF。基礎研究よりなイメージ

Ready for : CF大手。科学に関する内容も多様

Makuake : 科学というよりテクノロジーよりのCF

課題

良いこともいっぱいですが、課題もあります。例えば


・先ほど挙げたような、規制が届きにくく、倫理面や安全面での懸念

・不特定多数の人が関わることによる、論文や特許などの利権絡みの明確化の難しさ

・届けられる情報の誤りや偏り。例えば生態系に関しては、一般的な種よりも、珍しい種の報告がされがちということが起きています。


どうしても科学は小難しいイメージが付きまとうかもしれませんが、色んな関り方があることを知ってもらえたらと思います!


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