青年海外協力隊インタビュー! マラウイ隊員#1

派遣中

世界各国に散らばる青年海外協力隊へのインタビュー企画。今回はかけ算ソングなど数々の名曲でマラウイを風靡した、Tさんに色々お聞きしました!(曲自体は別記事にて掲載。)

 

2017-1次隊・マラウイ・小学校教育・Tさん

※任期を満了し、2019年3月に帰国済み。

 

まず初めに、協力隊に参加したきっかけを教えてください。

もともと小さい頃から興味がありました。ただ、大学を卒業した時も、協力隊に応募したのですが、結局中国の大使館における別の仕事に就きました。そこでは、草の根的な活動があまりできず、協力隊への思いが増すことになりました。

 

ただ、大使館の任期を終え、小学校の先生として働いていたのですが、なかなか海外に目を向ける余裕がありませんでした。

 

そんな中、30歳を超えた頃、中南米に研修で参加させてもらったことがきっかけで、協力隊への思いが再燃し、現職制度を利用して参加するに至りました。

 

活動はどのようなことをされていたのですか?

教員養成学校において、教員を目指す学生に算数と体育に関して指導していました。ただ、忙しい時とそうでない時の差が激しく、時間がある時には周辺の小学校を訪問していました。

 

一例として、貧困や川の氾濫によって、学校に来なくなる生徒が比較的多い地区に、ラーニングセンターを設立しました。ここでは教育実習生が地元の農家さんに教育方法を伝え、学校に通えない子供たちに学習する機会を提供しました。(小さなハートプロジェクトという、助成プログラムを利用。詳細はこちら

 

かけ算ソングなどの音楽活動はどういった背景から生まれたのでしょうか?

※かけ算ソング:九九の苦手な生徒が多い状況を打破すべく、Tさんを中心に作成された、九九をベースにした曲。

 

もともと、縄跳びクラブを運営し、その節目の記念に教員養成学校の学生と、縄跳びに関する曲(Jump Rope)を作ったことが始まりです。歌詞は一緒に考えましたが、メロディは学生がすぐに作ってくれました。

 

それが他の隊員にも広がり、「かけ算の歌があると良い!」となりました。九九が苦手な生徒が日本に比べ圧倒的に多く、ここに問題を感じている協力隊員が多かった背景もあり、作成するに至りました。

 

また、Jump Ropeの時に、ラジオ局に知り合いがいる人に曲を送ってもらうと、次の日には若者が良く聞く番組で全国放送され、「なんかいけんじゃね!」と感じた面もあります(笑)

 

マラウイの人はとてもプラス思考で、自分はそんなに歌が上手じゃないけれど、ものすごく褒めてくれます。また、新しい曲ができる度に「良かったよ!」とか、「続けてね!」と言ってくれ、かけ算ソング以外にも取り組むことにしました。

 

せっかく作るなら、何かマラウイのためにできたらと思い、「自然保護」や「食習慣」をテーマにした曲を作りました。かけ算ソング含め、マラウイで日本人が現地語を使ってこんなことをしているってなると、話題にもなりやすくていいかなと思いました。

 

かけ算ソングの効果はいかがでしたか?また、今後どうあって欲しいですか?

一例として、かけ算評価テストの平均点が45点から71点まで上がったクラスがあります。ただ、歌に伴ってかけ算に費やす時間が増えた面もあるので、一概にこの歌だけの効果とは言えないかもしれません。

 

大切なことは継続すること。自分がいなくなっても継続して使ってもらうためには、どうしても教育省に認められる必要があると思いました。そこで、先生方ならみんな知っている教育省の人にも、かけ算ソングのミュージックビデオに出てもらうように働きかけ、出演して頂きました。

 

また、ちゃんとした効果を測定するための、パイロット校を指定してもらい、現在一緒に活動していた隊員の学校で測定が進んでいます。この隊員が帰国した以降も、継続されるかどうかが大きなポイントだと思っています。

 

音楽ビデオ作成における、苦労や良かった点を教えてください。

企画段階でこんな演出を入れようと言っていたことの、半分くらいは出来ていないことはざらです。また、出演予定の人が全然来ないとか(笑)

 

ただ、マラウイの良いところで、いないならその辺の人に代わりに出てもらおうとかで、なんとでもなるところがあります。また、先ほど述べましたが、即興がすごくて、メロディや演出がその場でどんどん決まる。

 

計画性の無さを指摘されることが良くありますが、そんなのいらないんだなと実感する経験にもなりました。

 

今は活動を終えられて、日本で教師をされているんですよね?

はい、もともと現職制度を利用しており、この4月から小学校の先生をしています。

 

最近出された曲に関して教えてください。

マラウイとのせっかくの繋がりで、何かできたらと考えていました。そこで、日本とマラウイで協働して歌を作りました。日本の生徒に「平和」や「繋がり」といった歌詞にしたいキーワードを挙げてもらい、私が英語にして歌詞をつくりました。それをマラウイの人にメロディを考えてもらい、つい先日完成したばかりです。

 

今度の組体操でこの曲が挿入歌として利用される予定であったり、音楽の先生に頼んで合唱のようにできないかお願いしているところです。現在活動している隊員にマラウイのクラスと繋げてもらい、一緒に歌うといったことも計画中です。

 

最後に、マラウイの活動を通じて、今後日本の子供たちにどういったことを伝えていきたいですか?

簡単に「できない、やれない。」と思わないで欲しいですね。マラウイでは日本に比べノートなどの物資が圧倒的に少ない中で勉強しています。また、身近なものを工夫して使って遊んでいる。

 

スマートフォンやゲームがないと遊ぶことがないと言う子供を見ると、仕方ない面もあるかもしれませんが、簡単にあきらめて欲しくないですね。そのためにも、色んな国を知り、視野を広げて欲しいと思います。

 

ありがとうございました!

 

音楽やダンスが大好きなマラウイの人々にとって、楽しくかつとても意義のある取り組みを続けられたTさん。他の国にも応用できる面があると思い、是非たくさんの人に知って頂きたく、先生として多忙な中、インタビューに答えて頂きました。

 

※今回の内容に出てきたかけ算ソングはじめとする、Tさんの曲はこちらの記事で紹介しています。

※青年海外協力隊における活動は、個人的な利益の取得が禁止されていますが、今回の一連の活動によって、Tさんが金銭的な利益を得ていることはありません。

 

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