バイオテクノロジー8選

テクノロジー

21世紀はITと生物の時代と言われ、日進月歩の科学の世界。自分のなかの整理もかねて、面白いバイオテクノロジー8つを紹介します。

 

CRISPR-Cas9 遺伝子を切って、貼って

遺伝子ドライブ マラリア撲滅?

人工生命 異端の生命体

試験管食材 未来の食

DNAでわかること 顔も予測可

DNAでデータ保存 ビットの世界をDNAへ

iPS細胞から生殖細胞の作成 生殖の在り方

臓器生成 動物が人間の臓器を育成

 

はじめに

混同しやすい語句に関して、「本」と対比しながらざっくりとだけ説明しておきます。

 

DNA・・deoxyribonucleic acid デオキシリボ核酸という、デオキシリボース(五炭糖)とリン酸、塩基 (A(アデニン),T(チミン),G(グアニン),C(シトシン)のいずれか)から構成される核酸。本だと「インク」的な存在。一般には遺伝と同様、概念的な意味でも用いられる。

 

遺伝子・・A,T,G,Cによって表現される、DNAのなかのタンパク質を生成するためのひとまとまり。本だと「ある意味をなすひとまとまりの単語、文章」

 

染色体・・DNAとヒストンからなり、DNAはヒストンに巻きつくことでコンパクトになっている。本だと「紙も含めた一章」

 

ゲノム・・生物の遺伝情報のまとまり。遺伝子とその他で構成され、本だと「文章全部」、現状では未解明な部分がゲノム(文章全部)の大部分を占めています。

 

遺伝・・概念。本だと「本」という概念であり、一般にはDNAもこの意味合いで使われることが多いです。

 

CRISPR-Cas9

遺伝子を切って、貼って

 

蛍光を発するクラゲがいて、その蛍光を発する特徴をつかさどる遺伝子を切り取り、他種に組み込み発光させることができるといった技術。つまり、他種の特徴を別種に組み込める。不都合な遺伝子を切り取ることや、当然ながら同種間でのやりとりも可能。より肉の多い動物や、毛の多いヤギを誕生させられる。→遺伝子編集「クリスパー」かつて不可能だった10の応用事例

 

関連TED:How CRISPR lets us edit our DNA(日本語訳あり)

 

遺伝子ドライブ

マラリア撲滅?

 

前述のCRISPRの応用。遺伝子を操作する際、この編集機能自体も組み込むことで、改変したい特徴が次世代すべてに適応される。寿命が短い種だと一気に特徴が広がる可能性。(遺伝子操作でマラリア蚊対策、個体群を全滅 英研究

 

関連TED:Jennifer Kahn: Gene editing can now change an entire species — forever(日本語訳あり)

 

人工生命

異端の生命体

 

生物由来の遺伝子や細胞を用いることなく、人工的に一からDNAを組み立て、それ由来の生命体がすでに誕生している。(最小限のゲノムを持つ細菌を作製、ヒトゲノム解読の米科学者ら)倫理的な討議はもちろん必要だが、今後より複雑な生命、更には人工のヒトゲノム作成を目標に掲げている取り組みも存在。

 

試験管食材

未来の食

 

動植物の細胞などを利用し、培養させて食肉や、植物由来だが動物の肉のような食品をつくる技術がすでに存在。(「人工肉」は世界を救うのか 注目のミートテック事情最前線)リアルに動物を育てる過程は環境負荷が課題となっており、一つの解決策としても注目。

 

日本にもすでにこれに取り組んでいる会社が存在。→インテグリカルチャー株式会社

 

DNAでわかること

顔も予測可

 

肌の色や身長などがDNAから予測でき、さらには顔に関してもある程度の予測ができるようになっている。

 

関連TED:How to read the genome and build a human being(日本語訳あり)

 

※日本においては株式会社ジーンクエストなどが遺伝子解析に取り組んでいる。ちなみにこちらの代表である高橋さんのTwitterは生物関連のトピック多く、関心ある人にはおススメです。

 

DNAでデータ保存

ビットの世界をDNAへ

 

コンピューターの世界は0,1、生物の世界はA,T,G,Cであり、片方から片方へとデータを変換する技術が発達中。DNAに動画を保存し、読み取ることがすでに可能。(世界初、生きた細胞のDNAに動画を保存

 

関連TED:How we can store digital data in DNA(日本語訳なし)

 

iPS細胞から生殖細胞の作成

生殖の在り方

 

iPS細胞から、精子や卵子のもととなる生殖細胞を作成する技術が発達中。不妊治療などへの希望となるとともに、体外受精や代理母出産などと同様、より倫理的な議論を積み重ねる必要がある分野。(人のiPS細胞から卵子のもと「卵原細胞」 京大が世界初の作製に成功

 

臓器生成

動物が人間の臓器を育成

 

人間の臓器を別種の動物のなかで育て、臓器移植に利用する未来の可能性。(「ヒトとブタのキメラ」作製に成功、移植用臓器不足は解消するか

 

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今回取り上げた内容にも含まれる、CRISPERはじめとした合成生物学的な内容は、学士卒なので1年しかいませんでしたが、所属していた研究室でがっつり取り扱っていました。(GFP組み込まれた、光るミジンコ毎日世話してました。光るミジンコも載っている研究室HP

 

技術的な面はもちろん、倫理的な面でも課題は多い分野ですが、従来のヒトの在り方を変革しそうでワクワクしています。今秋から入学予定の大学院でも、このあたりの分野にフォーカスした授業も取るつもりで、キャッチアップ頑張りたいです。

 

今回の内容興味ある方は、

・合成生物学の衝撃/須田 桃子 /文藝春秋

・ゲノム編集の光と闇 ──人類の未来に何をもたらすか /青野由利/ちくま新書

おススメです!

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