未来をイメージ!おススメSF小説7選

「本気のテクノロジーが世界を変える」


大前研一さんと堀江貴文さんの対談で語られた言葉です。


NPOでのインターン等通じて、行政の役割やその力の大きさを感じつつも、テクノロジーの影響は途上国等問わず、急速に拡大している今の世の中。


今後のあるべき世界を考える上でも、テクノロジーを無視することはもうできないと思います。


ここでは、テクノロジーの進化によって現実となるかもしれない、個人的におすすめなSF小説8つをご紹介します。

幼年期の終わり

<概略>

地球上空に、突如として現れた巨大な宇宙船。オーヴァーロード(最高君主)と呼ばれる異星人は姿を見せることなく人類を統治し、平和で理想的な社会をもたらした。


彼らの真の目的とはなにか? 異星人との遭遇によって新たな道を歩み始める人類の姿を哲学的に描いた傑作SF。(※光文社古典新訳文庫より抜粋)


<個人コメント>

20世紀を代表するSF作家の中でも有名な本です。


昨今、機械との融合等によって、人類(ホモ・サピエンス)の次の種が、遠くない未来において出現する、というより、我々が進化していくといった議論が多いですが、そのような新しい種とはどんなものか、一つの可能性が描かれています。

星を継ぐもの

<概略>

月面で発見された真紅の宇宙服をまとった死体。だが綿密な調査の結果、驚くべき事実が判明する。死体はどの月面基地の所属でもなければ、ましてやこの世界の住人でもなかった。


彼は五万年前に死亡していたのだ!一方、木星の衛星ガニメデで、地球の物ではない宇宙船の残骸が発見される。関連は?(※創元SF文庫より抜粋)

<個人コメント>

ものすごいテクノロジーが何かする、といったSFではありません。ミステリー的な要素の多い作品です。


SFといえば、どちらかというと「未来」に焦点があてられている気がしますが、こちらはどちらかというと「過去」に焦点があてらています。また、SFはITのその先って感じが多いですが、こちらは「生物・進化」等に主題がおかれている感じです。

ソラリス

<概略>

惑星ソラリス――この静謐なる星は意思を持った海に表面を覆われていた。惑星の謎の解明のため、ステーションに派遣された心理学者ケルヴィンは変わり果てた研究員たちを目にする。彼らにいったい何が?


ケルヴィンもまたソラリスの海がもたらす現象に囚われていく……。人間以外の理性との接触は可能か?(※ハヤカワ文庫より抜粋)

<個人コメント>

今の地球には、複雑な思考・コミュニケーションといった点では人類が他の種と大きく異なり、それらを総称して「知性」と呼んでいる気がします。この本では、まったく人類と異なる「知性」との出会い(?)を通じて、「生命の在り方」や「知性の本質」が何かを問いかけられます。

あなたの人生の物語

<概略>

地球を訪れたエイリアンとのコンタクトを担当した言語学者ルイーズは、まったく異なる言語を理解するにつれ、驚くべき運命にまきこまれていく……(※ハヤカワ文庫より抜粋)

<個人コメント>

本自体は、上記の物語を含む8つの短編集です。特に上記内容に関しては、現在上映真っただ中であり、話題沸騰中の作品です。


この物語の主題は前述の「ソラリス」と同様、異種(知性のある地球外生命体)との交流における、可能性にあります。ただ、それを通じて、私たちの思考が、言葉やその文法によって大きく影響を受け、もっと言えば制限されているのではといった点も重要なテーマです。


詳しくは記載しませんが、この物語で出会う生命体は、人類とはまったく別の言語体系によって、まったく別の思考回路となっています。そのような出会いを通じて、人類側の変化も訪れていく様子は、何か人類のその先を垣間見るような経験となります。

すばらしい新世界

<概略>

人工授精やフリーセックスによる家庭の否定、条件反射的教育で管理される階級社会――かくてバラ色の陶酔に包まれ、とどまるところを知らぬ機械文明の発達が行きついた“すばらしい世界”


人間が自らの尊厳を見失うその恐るべき逆ユートピアの姿を、諧謔と皮肉の文体でリアルに描いた文明論的SF小説。(※講談社文庫より抜粋)

<個人コメント>

SFの王道の一つ、行き過ぎたテクノロジーから生じる「ディストピア」(※「ユートピア(理想郷)」とは真逆の世界)を描いた作品です。


一つ一つの文章だけを読むと、時々「理想的かも」と感じつつ、殺伐とした印象は終始拭えません。この世界では、様々な作為により大きな争いも生じず、誰もが淡々と過ごし、大きな変革が生まれる兆しがありません。


全体をみればとても調和しているのかもしれませんが、調和しすぎている世界ってどうなんだろう?と感じました。

一九八四年

<概略>

“ビッグ・ブラザー”率いる党が支配する全体主義的近未来。ウィンストン・スミスは真理省記録局に勤務する党員で、歴史の改竄が仕事だった。彼は以前より、完璧な屈従を強いる体制に不満を抱いていた。


ある時、奔放な美女ジュリアと恋に落ちたことを契機に、彼は伝説的な裏切り者が組織したと噂される反政府地下活動に惹かれるようになるが…。(※ハヤカワepi文庫より抜粋)

<個人コメント>

全体主義の恐ろしさを描いたSFとして、最も有名な本の一つです。最近ではトランプ政権の影響なのか、売れ行きが再びよくなっているとのこと。一党独裁による、完全な監視社会が描かれており、管理・支配に満ちた世界が描かれています。


こちらも、前述した「すばらしい新世界」と同様、ある意味では「調和」を求めすぎた結果のディストピアって感じがします。「動的平衡」や「アメーバ経営」といった言葉もありますが、「固定」し切らないことが、生物にとっては非常に重要なのかなと読みながら思いました。

攻殻機動隊

<概略>

西暦2029年。通信ネットワークに覆われ、膨大な情報が世界を駆け巡っている超高度情報化社会。しかし国家や民族、そして犯罪は依然として存在していた。


より複雑化していく犯罪に対抗すべく結成された特殊部隊……公安9課に所属するその組織の名は、攻殻機動隊と呼ばれた。(※amazonより抜粋)

<個人コメント>

最近実写化もされ、話題となった、日本発のSF。小説ではありませんが、正直SFのなかで、個人的にダントツに好きなので、記載します。


死ぬ時に大量の経験情報を消し去って遺伝子と模倣子だけを残すのも、周期的に文明が疲弊するのも、皆システムの硬化・・破局に対する防御機能だ。上に行くほどレベルは巨視化し決定論的にふるまう、逆に下は微細構造に行くほど非決定論的になる。


言い換えれば下の階層のゆらぎが上の階層の動脈硬化を防いでいる。システムの硬化・・熱的死は一見安定の概念に近い様だが「変化に乏しく一様でゆらがないシステム」は破局の可能性が増大し真には不安定。(※漫画:攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL/講談社より)


この投稿で挙げた「すばらしい新世界」や「一九八四年」の、行き過ぎた管理社会の危うさを見事に表現していると思います。


全体の管理が過度になり、システムの硬化は真には不安定であり、ミクロなところでの柔軟さが、人類問わず、生命には必要なのだと教えてくれます。

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