アフリカのユニークな企業10

テクノロジー

世界経済フォーラムで、テクノロジーを駆使した先進的なスタートアップ61社が選出されました。(詳細はIntroducing the Technology Pioneers Cohort of 2018)日本からは1社も選ばれない中、アフリカからは3社が選ばれました。独自の事情で、様々なサービスが生まれつつあるアフリカ。ここでは個人的に面白いと感じている、アフリカの企業10社を紹介します。アフリカならではの課題に対し、驚くようなアプローチやサービスを提供している企業が多く、サイトを見ていて楽しかったです。

 

なお、アフリカのテック系の会社や、注目のスタートアップ企業の情報は、AF TECHという素晴らしいサイトがあり、こういった分野に関心ある人は要注目だと思います。

 

紹介する10社

flare:救急車などの非常事態に対応する車への、Uberのようなサービス

BuuPass:多くのアフリカ諸国で利用されるミニバスのオンライン予約サービス

betPawa:スポーツを通した賭け、スポーツベッティング

Cowsoko:家畜売買プラットフォーム

Eneza:オフラインでも利用できる教育サービス

Stockbox:買い物に伴う保証書の管理アプリ

Selina Wamucii:農家とバイヤーを結ぶサービス

Evaptainers:電気のいらない冷蔵庫

Voyazed:旅行プラットフォーム

Artyrama:アフリカアート売買のオンラインプラットフォーム

 

flare

救急車などの非常事態に対応する車への、Uberのようなサービス

HP

内容

日本で言う救急車や消防車にあたる役割の車を配車する、非常事態版のUberのようなサービスです。日本だと、行政の仕事でかつ密に配備されたサービスを享受することができますが、多くのアフリカ諸国では難しい現実があります。行政などでサービスがあったとしても、そのための絶対数が少ない・交通の便が悪いなどにより、非常事態にも関わらず、何時間も待つ場合があります。そして、そもそもそういった役割を担う機関がない場合もあります。

 

個人的な話ですが、マラウイに在住しており、自分の住む敷地内で火事があったのですが、消防のための機関はなく、自然鎮火を待つばかりでした。ないことに不満ばかり言っていても仕方なく、民間の力で何とかしようという、お手本のような素晴らしい取り組みだと思います。

 

BuuPass

多くのアフリカ諸国で利用されるミニバスのオンライン予約サービス

HP

内容

アフリカの多くの国では、個人で車を持っている人はまだ少なく、そのために移動をミニバスに頼ることが多いです。ただ、よく聞く話かもしれませんが、時刻を定めて出発するのではなく、満員になると出発することがほとんどです。そのために、何時間もバスで待つといったことが、現に私もマラウイにいて何度も経験しています。一方、人が密なところでは、バスの供給が追い付かず、同様に何時間も待つといった状況もあるようです。

 

そのような状況を打破するための、オンラインでの事前予約サービスを手掛けるのがこの会社です。ただ待つだけの時間を短縮し、それを仕事やプライベートの時間に割けるようになれば、シンプルですが非常に効果の大きい取り組みだと思います。マラウイでも普及して欲しいです(笑)

 

betPawa

スポーツを通した賭け、スポーツベッティング

HP

内容

ワールドカップで盛り上がる昨今、日本ではサッカーなどのスポーツを賭けの対象とすることは、基本的に違法ですが、アフリカではポピュラーなことです。同様のサービスは多くありますが、掛け金最低額を大きく下げることで注目されているようです。

 

少しずれた内容かもしれませんが、日本だとチケットの転売がよく問題になります。どのみち裏で生じてしまうような事案なら、正規のサービスを提供できる素地を準備することも必要なのかなと、このサービスを見ながら感じました。

 

Cowsoko

家畜売買プラットフォーム

HP

内容

表題通りのサービス、家畜売買のプラットフォームを手掛ける企業です。アフリカでは多くの人が個人事業のような形態で過ごしており、農業とあわせて牛・鶏・豚・ヤギなどを育てている人が多いです。マラウイにおいては適切な管理をすれば、農業よりも利益率がよく、初期投資に余裕のある人は始めたいと言ってくる人が多いです。

 

生きている動物であり、サイトからの情報でどこまで信用に足る情報が得られるか等、難しい面もあると思いますが、市場の円滑化・最適化の上でも非常に面白い取り組みだと思います。

 

Eneza

オフラインでも利用できる教育サービス

HP

マラウイにおいては、小学校にあたるところでは、教師不足により1教室に100-150人ほどの生徒がいることがざらです。そして、そのような状況下では、もちろん一人の生徒に割けられる時間は短くなり、結果として学校に行っても十分な教育が受けられない状況。そして、そもそも学校に行けない子供たちも。そのような状況は他のアフリカ諸国でも見られるようです。

 

こういった状況打破を目指し、オンライン教育サービスを提供しているのがこちらの企業。番号を通じたクイズ形式のものもあり、いわゆるガラケーで、ネットを利用できない人にもサービスが享受できます。マラウイにおいても、携帯の普及率は高いと感じる一方、スマートフォンの保有、さらにはネット利用の常時化は、多くの人にとってまだまだハードルが高い印象であり、多くの国でこのサービスが広まればと思います。

 

Stockbox

買い物に伴う保証書の管理アプリ

HP

アフリカに限らず、多くの国で需要がありそうなサービスです。個人の所有物や、その証明書を管理するアプリを手掛けており、不良品などのトラブルや、破損時の保険へのアクセス向上など、可能性は大きいと思います。

 

少しそれますが、アフリカの多くの国では土地の所有権の不安定さが、資産の不安定さや融資を受ける際のハードルになっている面があり、ブロックチェーンを用いた不正のない証明サービスが今後普及しそうな流れ。そういったことにも通じる、「所有」の明示を促進する素晴らしい取り組みだと思います。

 

Selina Wamucii

農家とバイヤーを結ぶサービス

HP

内容

多くの人が個人農家であるアフリカ、人々は交通の便が悪いこともあり、仲介業者に不当に安く買われ、マーケットでは不当に高く売られている現状があります。そのような状況打破のため、農家と最終的に消費者へ届ける者との最適化に取り組んでいます。

 

青年海外協力隊活動の一環として少し携わっている面もあるのですが、マラウイにおいても、その課題の大きさを痛感しています。携帯などを用いた、この企業のような簡便な情報共有ができれば、農家の人がより豊かに、そして消費者も安い農作物を享受できるので、この取り組みには注目続けたいです。

 

Evaptainers

電気のいらない冷蔵庫

HP

内容

アフリカの多くの国では、電気で稼働する冷蔵庫は高価なものです。また、そもそも停電が頻発したり、電気が通っていない地域に住む人々も多い現状、食料の保存が問題となります。こちらの企業は表題の通り、電気を必要としない冷蔵庫の開発を手掛けており、不安定な電気事情である国にとっては大きな需要があると思います。

 

また、今住んでいるマラウイではあまり見かけないのですが、スーダンなどでは壺を2重にして、その隙間に土を入れて、水を注ぎ、気化熱の原理を利用した簡易冷蔵保存が、昔から普及しているとのこと。昔からのローテクに、今の科学技術の知見を用いれば、大きな変革を起こせることが多い気がしています。

 

Voyazed

旅行プラットフォーム

HP

内容

広大な自然風景や、多種多様な動植物に巡り合えるアフリカ。もちろん、それ以外にもたくさんの観光名所がありますが、なかなか整理されていない現状。今住んでいるマラウイにおいても、情報が点々としており、かつ定期的な更新がちゃんとなされている観光サービスになかなか出会えません。

 

前述してしまっているような、アフリカ=広大な自然といった画一的なイメージを払拭し、よりオープンな情報公開を進めば、アフリカならではの魅力を感じ、訪れる人が増えるだろうなと、もどかしさを感じることがよくあります。

 

Artyrama

アフリカアート売買のオンラインプラットフォーム

HP

内容

多種多様なアフリカの芸術へのアクセス向上を目指したプラットフォームです。マラウイにおいては、絵画などの芸術活動で生計をたてている人が一定数いますが、基本的には自分でそれらの商品を持ち歩いての商売です。価値ある作品がより多くの人の目に触れ、市場に出回ることは非常に大切なことだと思います。

 

芸術はその国の特色が顕著に表れると思います。この取り組みを通して、アフリカやその中でのそれぞれの国の特色を発信し、多様な文化の促進に繋がればと思います。

 

※冒頭に紹介した、世界経済フォーラムで選ばれた61社に関する記事も投稿しているので、ご興味あれば是非こちらの記事

 

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