訓練生インタビュー「図書委員」

派遣前訓練

訓練生インタビュー、今回ご紹介するのは図書委員長のTさん。いろんな方にインタビューしようと思いついた時、たまたま隣に座っていたので、「図書委員長って誰か知ってます?」と聞いたら「私です(笑)」とのこと、インタビューはもちろん快く応じてくれました!以下インタビュー内容です。

 

図書委員長・ベトナム派遣予定・観光・Tさん

協力隊に応募したきっかけは?

外国人の方に東京を紹介する仕事において、ずっと東京にしかいなかった自分とは違う視点が欲しかった時期に、協力隊の紹介をされて説明会に行ったことがきっかけです。

 

もともと10代の頃から、電車で協力隊の応募ポスターを見て、なんとなく面白そうだなとは考えていました。また、実は高校を中退しているんですけど、みんなが学校で勉強しているであろう時間帯に放送されていた番組で、アフリカの子どもたちに関するドキュメンタリーを見ました。ごみを集めて生計をたてている内容で、自分の無力感にさいなまれた記憶があります。当時の協力隊のポスターが「あなたの技術を活かそう」といった感じのキャッチコピーでもあり、専門知識のない自分には遠い世界のように感じていました。

 

ただ、働いているなかで、外国人の方に、東京の名所を紹介していました。それを通じて、東京にしかいたことがないのに、本当に良さを伝えられるか疑問に感じ、一度海外に出て、別の視点を得たいと思いました。

 

また、働いていた会社には、アメリカ人や韓国人などの海外の人がいて、自分と同じような年代で、単身外国で働いている姿に刺激も受けました。自分も海外でチャレンジしたいと思い始めました。

 

丁度その頃、知人から協力隊の話を聞き、要請内容を見て「観光」といった職種があることを初めて知りました。しかも、それが東京で協力隊の説明会が行われる前々日(笑)運命だと思って説明会に行って、そのまま応募しちゃいました!

 

学生時代はどんな人(専攻、海外経験、国際協力への関心)

高校を中退した後、バイトをしながら大学に行きたいと思い始め、受験して芸術を専攻し、文章を書いたり、編集方法などを学びました。専門的な能力がなくても、人に何かを伝えることがしたかったんです。この選択には先ほど述べた、アフリカの子どもたちの影響もあったと思います。

 

海外経験は、大学3年の時、ニュージーランドに1カ月のホームステイをしました。正直、遊びに行く感覚でした。ただ、印象的な出来事がありました。韓国の女の子、ドバイの男の子、そして私で、裸の男の人が山を登っているようなポスターを見て、みんなで笑ったんです。出身は違って、政治とかの背景も違うのに、同じ状況で笑えるってことが印象的でした。それ以来、あまり外国の人だからとかって考えず、同じ人間だと思って、誰とも接するようになりました。

 

協力隊に応募する前は何をしていた?(仕事はやめた?)

大学卒業後、エンタメ系の会社で、流行っている情報を配信したり、取材したりしていました。一旦フリーランスでライターとかしていた時期もあります。その後、最初に述べた、東京の名所を紹介する仕事をしていました。

 

一番印象的だったのは、谷根千の旅館を取材した時です。おじいさん、おばあさんが運営している小さい旅館。だけど、外国人のお客さんが9割で、とても人気でした。東日本大震災の時、世界中のお客さんからメッセージが来ていました。応援しにまた日本に行きますといったコメントなどあり、すごく良いと思いました。

 

1960年代、国連のスローガンで「観光は平和へのパスポート」って言葉が衝撃的で、ずっと頭にある言葉です。内戦とか国が安定していないと観光ができないので、観光できるということは平和であるといった意味です。旅館での経験を通じて、ある国を良いと思い、母国に帰って、草の根的に良い情報が広がれば、国の仲が良くなるきっかけになると思い、観光の大切さを感じました。

 

委員会はどうでした?

(なぜ図書委員になったのですか?)

ブックレビューに関わる仕事をしていたので、人に面白い本を紹介する感覚とかを忘れないためです。図書委員の存在を知ると、絶対したいという思いで立候補しました。

 

(なぜ委員長になったのですか?)

ホントは委員長って図書委員ではないんです(笑)ビブリオバトルという、おススメの本を紹介するイベントの運営が業務内容にありました。以前に同じイベントの運営経験がある自分が、まとめ役になった方がいいのではといった流れで、一応委員長名のっています(笑)

 

(活動はどうでした?)

図書室の運営も仕事ですけど、色々な目的で利用する人が多いんです。勉強のために利用している人、語学のために本を借りる人、空いた時間のために小説を借りる人。短い訓練期間、どうやって時間を活用するのか、垣間見れて面白いです。ただ、当番制なので、個別で動くことが多いです。なので、みんなで何かするイベントがもっと欲しかったですね。

 

語学が忙しいかもしれないけれど、委員をしてみたいという人が集まっており、委員会のおかげで知り合えた人もいるので、何かしらの委員会はおススメです。

 

言語はどんな感じ?

ベトナム語、まったくの初めてです。最初の1カ月半はすごくつらかったです。勉強に対して苦手意識があり、うまく学んだことを発揮できなくて悔しかったです。クラスは四人いて、中間テストの点は私が一番低かった。比べても仕方ないと思いながら、上達しないことがつらかったです。

 

自分ができないことを認めていない部分がありました。けれど、授業中に積極的に分からないところを聞いたりすると、先生とクラスメイトが丁寧に教えてくれたり、効果的な勉強方法を教えてくれました。自分なりの勉強方法が見えてきて、安心しながら勉強することが今は出来ています。確認テストも結果が良くなり、楽しくなっています。

 

現地での要請内容は?あと、現地でどんなことをしたい?

ベトナムのニンビン省に配属予定です。その地域の複合景観が、2014年に世界遺産に登録されました。ただ、中国からの観光客は増えているのですが、日本人が少ない。なので、日本人向けの魅力的なプランを企画・提案する予定です。また、日系の企業との関係構築も要請内容としてあります。日本からのテレビ局や雑誌が来た時、窓口としての役割もあります。

 

1年に1度、日本でツーリズムエキスポジャパンという、観光に関する展示会があります。私としては、ベトナムのブースがあるので、何が魅力なのかそこで発信したいです。

 

観光が仕事でもあり、日本人が好きな観光地は全部回りたいです。特にハロン湾とダナン、色々楽しみたいです。

 

帰国後はどうするつもり?将来はどんなことをしたい?

帰国のタイミングは2019年。東京オリンピックに合わせて、ベトナムとの懸け橋になりたいです。例えばツアーコンダクターや、通訳、視察の案内などですね。将来的にも、縁があってベトナムに派遣されるので、日本とベトナムに関わる仕事がしたいです。

 

実は、どこの国でも大抵政府が主体となる観光局があるのに、ベトナムはないんです。一度設立されたのに無くなっています。なので、それを再び設立するようなことに関わりたいとも思います。

 

「いつか~の力になる」にした理由は?

<Tさん記入>『いつか「観光で平和をつくる」力になる』

 

先ほど述べた、「観光が平和へのパスポート」という言葉がずっと残っていて、それをうまく表現したくて、書きました。

 

よく、青年海外協力隊の内容で、「観光」ってあるの?なんだか「ビジネス」っぽいね。とかよく言われます。自分でもそうだなと思う時があります。でも、「観光」は「平和」に繋がり、国際協力であると思います。なので、あえて「観光」と「平和」を一緒に使いたかった。アフリカに行くだけが協力隊じゃないと(笑)

 

幸せだと感じるのはどんな時?

誰かと一緒に笑っている時ですかね。

 

この訓練所に来て思うこととして、年齢も、これから行く国もバラバラ。背景も様々だけど、根底にあるものは同じ感じがします。ふとした瞬間、同士がいるなと思って心強く、いいなと思います。

 

逆に1人で何も感じずに、ただぼーっとしている時もいいですね。訓練期間中、日曜の朝とかに、2階のテラスから景色を眺めたりすると、リセット出来てエネルギーチャージできる。ほっとします。

 

影響を受けた「人物」「本」「映画」があれば教えてください

今ブロードウェイに出ている、同い年の友達です。10代の頃から留学の機会を見つけ、高校を卒業したら単身ニューヨークに行き、舞台を学んでいました。今では渡辺謙さんといった、トップの人たちと踊っています。

 

一度ニューヨークまで見に行き感動しました。世界を切り開いているというか、夢を叶えていてすごいと思いました。ここでの語学が苦しい時、その時の音楽を聴いたりしています。

 

これからの意気込みをお願いします!

最近、平成7年に訓練所を修了した人にたまたま会い、これからすっごく楽しいよと言ってくれたのが印象的です。楽しみ半分、不安半分。けれど、その不安やさびしさも楽しもうと考えています。それは今後の人生においても一緒で、何事も笑って楽しみたいと思っています!

 

<インタビューを終えて>

「観光が平和へのパスポート」印象的な言葉でした。観光も含め、ビジネスで貢献することも、国際協力の一つの在り方だと思います。また、自分も講座委員になって、ならなければ繋がらなったであろう方々と繋がることができました。負担は増えるかもしれませんが、何らかの委員会は私としてもおススメです!Tさんありがとうございました!

 

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